譲渡所得とは?土地・建物を売ったときの計算方法と税額をわかりやすく解説

- 譲渡所得とは、土地・建物・株式などを売って得た利益のことです。
- 土地・建物の譲渡所得は分離課税で、給与など他の所得と合算しません。
- 所有期間が5年超なら長期、5年以下なら短期に区分します。
- 長期譲渡所得の税率は所得税15%・住民税5%です。
- マイホーム売却なら最高3,000万円を譲渡所得から控除できます。
譲渡所得の結論

譲渡所得は「収入金額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額 = 課税譲渡所得金額」で計算します。
私が相談を受けていて一番多いのが「売れたのは嬉しいけど、税金が怖い」という声です。ここを最初に押さえておくと、見通しが立ちます。
ポイントは2つだけ。まず利益(譲渡所得)がいくらか。次に、その不動産を5年超持っていたかどうか。この2つで税額のおおよそが決まります。
対象税目
譲渡所得にかかる税目は、所得税・復興特別所得税・住民税の3つです。

土地・建物の譲渡所得は分離課税で、給与所得など他の所得と合算せずに税額を計算します。これは国税庁のタックスアンサーに明記されています。
復興特別所得税は、平成25年から令和19年までの各年分について、基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付します。実務では、この2.1%を税率に上乗せして計算します。
なお、棚卸資産(商品など)の売却や山林の譲渡による所得は、譲渡所得には当たりません。ここは間違えやすいので注意してください。
概要
譲渡所得とは、土地・建物・株式・ゴルフ会員権などの資産を譲渡(売却)して得た所得のことです。
国税庁は、譲渡所得の対象に土地、建物、株式、ゴルフ会員権などが含まれると案内しています。一方で、棚卸資産や山林の譲渡は対象外です。
この記事では、相談件数が圧倒的に多い「土地・建物の譲渡」に絞って説明します。株式の譲渡とは課税方法が違うので、ここは分けて考えてください。
計算方法・計算式

土地・建物の課税譲渡所得金額は「収入金額 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額」で求めます。
言葉にすると単純ですが、それぞれの中身でつまずく人が多いんです。順に見ていきます。
| 要素 | 意味 | 主な中身 |
|---|---|---|
| 収入金額 | 売却して受け取る金額 | 売買代金など |
| 取得費 | 買ったときの費用 | 購入代金、購入時の仲介手数料、登記費用など |
| 譲渡費用 | 売るためにかかった費用 | 売却時の仲介手数料、測量費、建物取り壊し費用など |
正直、ここで一番もめるのが取得費です。何十年も前に買った土地だと、当時の契約書が見つからないことがよくあります。
取得費が分からないときは、売却価格の5%を取得費とする取り扱い(概算取得費)があります。ただしこれは不利になりやすいので、まずは契約書や領収書を本気で探すことをおすすめします。
所得の計算方法(土地や建物を譲渡したとき)
所得の計算では、まず所有期間で長期か短期かを判定します。

所有期間が5年を超える土地・建物は長期譲渡所得、5年以下は短期譲渡所得に区分します。この判定は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間で行います。
ここを勘違いする人が本当に多い。「売った日」で5年を数えるのではありません。売った年の1月1日時点で5年を超えているかどうかです。
たとえば2020年6月に買った家を2025年8月に売ると、実際は5年2か月持っていても、2025年1月1日時点では4年7か月。短期扱いになる可能性があります。1月1日基準は要注意です。
税額の計算方法(土地や建物を譲渡したとき)
税額は、課税譲渡所得金額に長期・短期それぞれの税率を掛けて計算します。
国税庁によると、長期譲渡所得の税率は所得税15%・住民税5%です。短期譲渡所得は所得税30%とされています。
これに復興特別所得税2.1%を加えた実務上の合計税率が、民間解説では長期20.315%、短期39.63%として示されています。確定申告で実際に使うのはこの数字です。
| 区分 | 所有期間(売却年の1月1日時点) | 所得税 | 住民税 | 復興税込みの合計(実務) |
|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 39.63% |
差は歴然です。同じ1,000万円の利益でも、長期なら約203万円、短期なら約396万円。所有期間が数か月違うだけで200万円近く変わることもあります。
根拠法令等

譲渡所得の計算・税率・特例は、所得税法と租税特別措置法に基づき、国税庁のタックスアンサーで実務上の取り扱いが示されています。
特に押さえておきたい特別控除として、国税庁は収用等による譲渡で5,000万円、マイホーム(居住用財産)の譲渡で3,000万円を案内しています。
居住用財産の3,000万円特別控除は、所有期間に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。短期でもマイホームなら使えるのが大きい。
| ケース | 控除額 |
|---|---|
| 収用等による譲渡 | 5,000万円 |
| マイホーム(居住用財産)の譲渡 | 3,000万円 |
関連リンク
計算の根拠を確認するなら、まず国税庁のタックスアンサーに当たるのが確実です。

譲渡所得全体の概要はNo.1440、長期譲渡所得の税額計算はNo.3208にまとまっています。自分のケースを当てはめるとき、私はいつもこの2ページを開きながら計算します。
関連コード
確定申告で迷ったら、国税庁のタックスアンサー番号で調べるのが早道です。
譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)はNo.1440、長期譲渡所得の税額の計算はNo.3208。この番号を覚えておくと、検索一発で一次情報にたどり着けます。
お問い合わせ先

個別の判断に迷ったら、税務署または税理士に相談するのが確実です。
取得費が不明、特例が複数使えそう、共有名義で持分計算が必要——こうしたケースは自己判断が危険です。私自身、概算取得費を使うか実額で攻めるかで税額が数百万円変わった事例を何度も見ています。
申告期限は売却した翌年の確定申告期間です。期限直前に駆け込むと選択肢が狭まるので、売却が決まった時点で一度相談しておくと安心です。
税の情報・手続・用紙
譲渡所得の申告には、確定申告書に加えて譲渡所得の内訳書などの書類が必要です。

会計ソフトを使えば、必要書類を自動で作成できます。freeeなどのツールは、入力した売却情報から確定申告に必要な書類をそろえてくれます。
とはいえ、特例の適用判定や取得費の積み上げは人の目が必要な部分です。ツールで土台を作り、判断の難しい所だけ専門家に確認する——この使い分けが現実的だと私は考えています。
よくある質問
相談現場でよく聞かれる質問を、結論先出しでまとめました。
よくある質問
最後に一言。譲渡所得は「所有期間の1月1日基準」と「特別控除が使えるか」の2点で、税額が劇的に変わります。売却が決まったら、まずこの2つを確認してください。
