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土地売却の税金

土地売却税とは?譲渡所得の計算方法と節税特例をわかりやすく解説

梶田 誠一 / 更新:2026-06-24
土地売却税とは?譲渡所得の計算方法と節税特例をわかりやすく解説
「土地売却税っていくら取られるの?」と不安になって調べている方へ。先に結論を言うと、土地売却税という名前の税金は存在しません。土地を売って利益が出たときにかかる「譲渡所得税」と、契約時の「印紙税」、登記時の「登録免許税」をまとめてそう呼んでいるだけです。
  • 「土地売却税」という独立した税金は存在せず、実態は譲渡所得税・印紙税・登録免許税の3つ。
  • 譲渡所得税がかかるのは、土地を売って利益(譲渡所得)が出たときだけ。
  • 税率は所有期間5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%。
  • 印紙税は契約書に貼る収入印紙で、契約額により1,000円〜数万円。
  • マイホームの土地なら3,000万円特別控除で税額がゼロになるケースも多い。

土地売却税の結論

土地を売ったときの税金(概算5%)
土地を売ったときの税金(概算5%)

土地売却で実際に負担するのは「譲渡所得税・印紙税・登録免許税」の3つで、なかでも金額が大きいのは利益に対してかかる譲渡所得税です。

私は税理士として譲渡所得の申告を12年扱ってきました。相談で一番多い誤解が「売った金額にまるごと税金がかかる」というもの。違います。課税されるのは、あくまで売却で出た利益(譲渡所得)の部分だけです。

つまり、買った値段より安く売って損が出たなら、譲渡所得税はかかりません。逆に、相続した土地など取得費がわからないと、税金が思った以上に膨らむことがあります。

利益が出ていなければ譲渡所得税はゼロ。ただし印紙税と(ローン残債がある場合は)登録免許税は、利益の有無に関係なくかかります。
土地売却でかかる3つの税金の早見表
税金の種類かかる場面金額の目安
譲渡所得税売却で利益が出たとき利益×20.315%(5年超)または39.63%(5年以下)
印紙税売買契約を結ぶとき契約額により1,000円〜(軽減税率)
登録免許税抵当権抹消の登記をするとき不動産1個につき1,000円

土地や建物の譲渡所得に対する税金

譲渡所得税は「所得税・復興特別所得税・住民税」の3つをまとめた呼び方で、土地を売った利益にかかります。

土地や建物の譲渡所得に対する税金

ここでいう利益とは、売った金額そのものではありません。買ったときの費用や売るためにかかった費用を差し引いた、純粋なもうけの部分です。

税率は土地を持っていた期間で変わります。長く持っていたほうが税率は低い、と覚えておけば大丈夫です。

譲渡所得税の税率(所有期間で区分)
区分所有期間内訳合計税率
長期譲渡所得5年超所得税15%+復興0.315%+住民税5%20.315%
短期譲渡所得5年以下所得税30%+復興0.63%+住民税9%39.63%

注意したいのが期間の数え方です。「売った日」ではなく「売った年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判定します。

たとえば2019年4月に買った土地を2024年5月に売っても、2024年1月1日時点では4年9ヶ月。短期扱いで税率が倍近くになります。ここで損する人を何度も見てきました。

税率の差は約2倍。年明けまで売却を待つだけで税負担が大きく変わるケースがあるので、所有期間が5年前後の方は1月1日基準を必ず確認してください。

課税される土地譲渡所得金額の計算

譲渡所得は「譲渡価格-(取得費+譲渡費用)」というシンプルな引き算で求めます。

課税される土地譲渡所得金額の計算

譲渡価格は売れた金額。取得費はその土地を買ったときの代金や手数料。譲渡費用は仲介手数料や測量費など、売るためにかかったお金です。

問題は取得費です。先祖代々の土地や古い相続物件だと、購入時の契約書が残っていないことが多い。その場合は「売却価格の5%」を取得費とみなして計算します。

取得費がわかる場合とわからない場合の差(売却価格3,000万円の例)
ケース取得費譲渡所得の概算
契約書あり(取得費2,000万円)2,000万円約1,000万円(売却価格-2,000万円-譲渡費用)
契約書なし(概算取得費5%)150万円約2,850万円

この差は大きい。取得費が証明できないだけで、課税対象が一気に膨らみます。古い契約書、リフォーム領収書、購入時のパンフレットなど、取得を裏づける資料は捨てずに残しておくべきです。

税額の計算

土地売却税金いつ払う解説動画
土地売却税金いつ払う解説動画

税額は「課税譲渡所得×税率」で出します。特別控除を使う場合は、譲渡所得から控除額を引いてから税率をかけます。

具体例で見たほうが早いので、3パターン並べます。売却価格1,500万円・所有期間5年超(税率20.315%)・譲渡費用は計算を見やすくするため省略した概算です。

売却価格1,500万円の譲渡所得税シミュレーション(長期・概算)
取得費譲渡所得税額(20.315%)
500万円1,000万円約203万円
2,000万円0円(損失)0円
不明(5%=75万円)1,425万円約289万円

取得費が2,000万円のケースは、買値より安く売っているので利益はマイナス。譲渡所得税はかかりません。

一方、取得費不明のケースは概算75万円しか引けないため、税額が最も重くなります。同じ1,500万円で売っても、税金が約289万円違うわけです。

土地が居住用財産に該当する場合の特例

売った土地がマイホーム(居住用財産)なら、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける特別控除が使えます。

土地が居住用財産に該当する場合の特例

この控除は強力です。譲渡所得が3,000万円以内なら、控除を引いた結果ゼロになり、譲渡所得税が一切かからないことも珍しくありません。

さらに所有期間10年超のマイホームなら、軽減税率も併用できます。課税所得6,000万円以下の部分は、所得税10%+住民税4%の合計14%まで下がります。

居住用財産で使える主な特例
特例内容対象
3,000万円特別控除譲渡所得から3,000万円を控除居住用財産(個人)
軽減税率の特例10年超所有なら税率14%(6,000万円以下部分)居住用財産
低未利用土地等控除譲渡価格が一定以下の低未利用地で100万円控除所定要件を満たす土地

1 マイホームを売って、譲渡益が生じる場合

マイホームを売って利益が出たら、まず3,000万円特別控除を当てはめ、それでも残った利益に税率をかけます。

1 マイホームを売って、譲渡益が生じる場合

たとえば譲渡所得が4,000万円出たとします。3,000万円を控除すると残りは1,000万円。所有10年超なら軽減税率14%で、税額は約140万円です。

控除を使わなければ4,000万円に20.315%で約812万円。差はおよそ670万円。特例を知っているかどうかで、手取りが大きく変わります。

利益が出ても、3,000万円控除と軽減税率を組み合わせれば税負担を大幅に減らせます。マイホームなら必ず適用可否を確認してください。

2 マイホームを売って、譲渡損失が生じる場合

【初心者向け】不動産を売却した際にかかる『譲渡所得税』の概要と税金を安くする4つの特例を解説
【初心者向け】不動産を売却した際にかかる『譲渡所得税』の概要と税金を安くする4つの特例を解説

マイホームを売って損失が出た場合は、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算でき、その年の所得税・住民税を軽くできます。

買ったときより安く手放すと、その差額は「譲渡損失」になります。住み替えなどの条件を満たせば、給与所得などと相殺できる仕組みがあります。

正直、損失が出る売却は精神的につらいものです。でも税金面では救済される道があるので、損したからと申告をあきらめないでください。詳しい要件は国土交通省の土地税制ページで確認できます。

特例の適用を受けるために必要な条件

これらの特例は自動では適用されず、売却翌年の確定申告で自分から申告して初めて使えます。

3,000万円控除なら、住んでいた事実がわかる書類、売買契約書、登記事項証明書などが必要です。控除でゼロになる場合でも、申告そのものは必須です。

私の経験上、「税金ゼロになるなら申告しなくていい」と思い込んで放置し、後から追徴されるケースが一番もったいない。控除を使うなら必ず申告してください。

特例で税額がゼロになっても、確定申告をしないと適用は受けられません。申告ありきで考えるのが鉄則です。

納付・申告のタイミング

税金ごとに払う時期が違い、印紙税は契約時、譲渡所得税は売却翌年の確定申告、住民税はその後の後払いです。

納付・申告のタイミング

特に住民税は申告した年の6月以降に通知が届くので、税金を払い終わった気でいると後から請求が来て慌てます。お金は残しておきましょう。

税金別の納付・申告タイミング
税金タイミング
印紙税売買契約の締結時に収入印紙を貼付
登録免許税抵当権抹消の登記時
所得税・復興特別所得税売却翌年の確定申告(原則2月16日〜3月15日)
住民税売却翌年度の6月以降に納税通知書が届き後払い

印紙税の軽減措置と税額

不動産売却にかかる譲渡所得税の課税対象や計算のポイントについて解説!
不動産売却にかかる譲渡所得税の課税対象や計算のポイントについて解説!

印紙税は土地売買契約書に貼る収入印紙で、2027年3月31日まで軽減税率が適用されます。

金額は契約額で決まります。実務でよく扱う価格帯だと、1,000万円超〜5,000万円以下で1万円です。

印紙税の税額(軽減税率適用時の例)
契約金額印紙税額
10万円以下200円(1万円未満は非課税)
1,000万円超〜5,000万円以下1万円
3,000万円超〜5,000万円以下1万円

登録免許税は、住宅ローンを完済して抵当権を消す登記のときにかかります。不動産1個につき1,000円で、負担するのは売主です。

よくある質問

相談現場で繰り返し聞かれる3つの質問に、私の言葉でまとめて答えます。

よくある質問

土地売却税とは?
「土地売却税」という名前の税金はありません。実態は、土地を売って利益が出たときの譲渡所得税(所得税・復興特別所得税・住民税)と、契約時の印紙税、登記時の登録免許税の総称です。利益が出ていなければ譲渡所得税はかかりません。
土地売却税の費用は?
利益(譲渡所得)に対し、所有期間5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%の譲渡所得税がかかります。これに加えて印紙税が契約額に応じて1,000円〜数万円、ローン残債があれば抵当権抹消の登録免許税が不動産1個につき1,000円です。
土地売却税の始め方は?
特別な手続きは不要で、売却した翌年の確定申告(原則2月16日〜3月15日)で譲渡所得を申告します。3,000万円特別控除などを使う場合も、この確定申告で申告して初めて適用されます。住民税は申告後に通知が届き後払いです。

最後にひとつだけ。取得費がわかる資料が手元にあるかどうかで、税額は数百万円単位で変わります。売る前に、まず昔の契約書を探すこと。これが一番効く節税です。

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梶田 誠一

梶田 誠一

税理士(相続・譲渡所得申告を中心に個人の税務相談を担当) ・ 不動産会社との連携実績あり、売却から申告までの一連の流れを熟知

税理士事務所での実務経験をもとに、不動産売却にまつわる税金・特例・申告手続きを一次情報に当たりながら平易な言葉で解説しています。読者が自分のケースに照らし合わせて判断できるよう、具体的な数字と制度の根拠を示すことを大切にしています。

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