マンション売却の税金計算方法|譲渡所得税の求め方と節税特例を解説

- 税金の計算式は『譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額』で、課税対象は売却益だけです。
- 所有期間が5年超なら税率20.315%、5年以下なら39.63%です。
- マイホームなら譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
- 売却益が出ても、特例適用後の課税譲渡所得が0円以下なら所得税・住民税はかかりません。
- 所有期間の判定は『売却した年の1月1日時点』で行います。
マンション売却 税金 計算方法の結論

マンション売却の税金は、『譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額』で求めた譲渡所得に税率を掛けて計算します。
所要時間は、必要書類が手元にそろっていれば15分ほど。難易度は、電卓があれば誰でもできるレベルです。
用意するのは3つです。購入時の売買契約書(取得費の確認用)、今回の売却の売買契約書、仲介手数料などの領収書。これだけあれば計算できます。
手順はシンプルです。①売った金額を出す ②買ったときの金額と諸費用(取得費)を出す ③売るためにかかった費用(譲渡費用)を出す ④使える特別控除を引く ⑤残った金額に税率を掛ける。
ここまでできていれば、自分の納税額の目安が出ています。マイホームの3,000万円控除を引いて残りがゼロなら、所得税・住民税はかかりません。
譲渡所得税(シンプル版)の計算・シミュレーション
譲渡所得は『譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額』で計算し、これがマイナスなら税金はかかりません。

実際にやってみましょう。3,500万円で買ったマンションを4,000万円で売り、購入時の諸費用が100万円、売却時の仲介手数料などが130万円だったケースで試算します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 譲渡価額(売った金額) | 4,000万円 |
| 取得費(購入代金+諸費用) | 3,600万円 |
| 譲渡費用(仲介手数料など) | 130万円 |
| 特別控除 | 0円 |
| 課税譲渡所得 | 270万円 |
このケースの課税譲渡所得は270万円。所有期間5年超なら、270万円×20.315%でおよそ54.8万円の税額になります。
正直に言うと、ここで多くの人がつまずきます。古いマンションだと購入時の契約書を捨ててしまっているからです。その場合は譲渡価額の5%(この例なら200万円)しか取得費に使えず、課税譲渡所得は一気に膨らみます。
譲渡所得税の税率
税率は所有期間で決まり、5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%です。
この差は約2倍。だから売り急ぐかどうかは、所有期間の境目を意識して判断したほうがいいです。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
注意したいのが期間の数え方です。『5年超か5年以下か』は、売却した年の1月1日時点の所有期間で判定します。実際の購入日からちょうど5年たっていても、その年の1月1日時点で5年を超えていなければ短期扱いになります。
私が相談を受けるなかでも、ここを勘違いして高い税率で計算してしまうケースが目立ちます。所得税15.315%には復興特別所得税が含まれている点も覚えておいてください。
譲渡所得税の特別控除の特例

マイホームを売った場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
これがマンション売却で最も効く節税です。先ほどの課税譲渡所得270万円の例なら、3,000万円控除を使えば課税譲渡所得は0円になり、所得税・住民税はかかりません。
ただし条件があります。売った年の前年・前々年に同じ特例を受けていないこと、などです。連続して使える制度ではない点に注意してください。
所有期間10年超のマイホームには、さらに軽減税率の特例があります。
| 課税譲渡所得 | 税率 |
|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 14.21% |
| 6,000万円超の部分 | 20.315% |
3,000万円控除と軽減税率は併用できます。大きな利益が出た高額物件ほど効果が大きい組み合わせです。
このほか、売却で損が出たマイホームには損益通算・繰越控除の特例があり、給与所得などと相殺できる場合があります。相続したマンションを売る場合は、取得費に相続税の一部を加算できる特例も使えることがあります。自分が対象か迷ったら、控除の要件を一つずつ確認してください。
不動産の売却のお問い合わせやご相談は「長谷工の仲介」へ
税金の計算は自分でできますが、売却価格そのものが分からないと話が始まりません。
譲渡所得は『いくらで売れるか』で大きく変わります。査定で売却の見込み額を把握してから税金を試算するのが、私が勧める順番です。
不動産会社の査定や相談窓口を使えば、売却価格の目安と必要書類の確認が同時に進められます。取得費の根拠になる過去の契約書の扱いについても、早めに相談しておくと安心です。
マンション売却にかかる税金の種類
マンション売却の税金は『売却そのものにかかる税金』と『利益にかかる税金』の2系統に分かれます。

前者は印紙税と登録免許税で、利益が出ても出なくてもかかります。後者が譲渡所得にかかる所得税・住民税です。
| 税金 | かかる場面 | 利益の有無との関係 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書の作成時 | 利益に関係なくかかる |
| 登録免許税 | 抵当権抹消などの登記時 | 利益に関係なくかかる |
| 所得税・住民税 | 売却益が出たとき | 譲渡所得が出た場合のみ |
| 復興特別所得税 | 所得税にあわせて | 譲渡所得が出た場合のみ |
つまり、利益が出なければ最後の所得税・住民税はかかりません。ここを混同して『売れば必ず税金がごっそり取られる』と思い込んでいる人が多いです。
マンション売却時にかかる基本的な税金

利益の有無に関わらず必ず関わるのが、印紙税と登録免許税です。
金額は譲渡所得税ほど大きくありませんが、売却の段取りで必ず出てくる費用です。順に見ていきます。
印紙税
印紙税は、不動産の売買契約書を作るときにかかる税金です。

契約金額に応じて金額が決まり、収入印紙を契約書に貼って納めます。具体的な税額は契約金額の区分ごとに定められているため、契約前に金額を確認しておくと支払いに慌てません。
電子契約の場合は印紙が不要になるケースもあります。利用する不動産会社の契約方式を事前に確かめておくといいです。
登録免許税
登録免許税は、住宅ローンが残っているマンションの抵当権を抹消する登記などにかかる税金です。

売却時に売主が負担する場面の代表が、この抵当権抹消登記です。司法書士に手続きを依頼する場合は、別途その報酬もかかります。
ローンを完済して売る人にとっては避けて通れない手続きです。金額自体は大きくないので、税金というより手続き費用として捉えておくと整理しやすいです。
マンション売却で利益が出た際にかかる税金

売却益が出たときにかかるのが、譲渡所得に対する所得税・住民税です。
この譲渡所得は分離課税で、給与所得などとは分けて計算します。だから給与とは合算されず、譲渡所得だけで税額が決まります。
計算に使うのは取得費と譲渡費用の2つです。ここを正しく拾えるかで税額が大きく変わります。
物件取得費
取得費とは、そのマンションを買ったときの購入代金や購入時の諸費用の合計です。

購入代金のほか、仲介手数料や登記費用なども含めて計算できます。取得費が大きいほど課税譲渡所得は小さくなり、税金は減ります。
譲渡費用
譲渡費用とは、売却のために直接かかった費用のことです。
売却時の仲介手数料が典型例です。売るためにかかった費用は譲渡所得から差し引けるので、領収書はまとめて保管しておいてください。
逆に、引っ越し費用や購入時のローンの利息など、売却に直接関係しない出費は譲渡費用に含められません。ここを混ぜてしまうと申告で指摘されます。
譲渡所得に対してかかる所得税・住民税
課税譲渡所得が0円以下なら、所得税・住民税はかかりません。

特別控除が課税所得を直接圧縮するためです。売却益が3,000万円以内のマイホームなら、3,000万円控除で課税譲渡所得が0円になり、納税なしで済むことも珍しくありません。
税額が出た場合の支払いは、売った翌年の確定申告で行います。所得税は確定申告の時期に、住民税はその後の納付になります。控除を使って税額が0円でも、特例の適用を受けるには確定申告が必要な点に注意してください。
私の実感として、いちばん損をするのは『3,000万円控除を使えたのに申告しなかった』ケースです。控除は自動では適用されません。
よくある質問
相談現場でよく聞かれる質問を、計算方法に直結する形でまとめました。
よくある質問
最後に一言。税金計算で迷ったら、まず購入時の契約書を探すこと。これが見つかるかどうかで、納める税金が大きく変わります。
