相続した家の売却にかかる税金6種類を徹底解説

- 相続した家を売って利益が出たときだけ、所得税・住民税がかかる。
- 譲渡所得は「売却価格-取得費-譲渡費用」で計算する。
- 空き家特例を使えば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる。
- 所有期間5年超なら税率20.315%、5年以下なら39.63%。
- 特例を使うには、売却した翌年の確定申告が必要。
相続した家 売却 税金の結論

相続した家を売っても、利益が出なければ売却による所得税・住民税はかかりません。
ここでいう利益とは「譲渡所得」のこと。国税庁の案内では、譲渡所得は原則として「売却価格-取得費-譲渡費用」で計算します。
つまり、売った金額がそのまま課税されるわけではない。買ったときの費用や、売るためにかかった費用を引いた残りに対して税金がかかります。
正直に言うと、相談に来る方の多くは「売値の何割か持っていかれる」と誤解しています。実際は利益部分にしか課税されません。
相続した土地を売却する際にかかる税金とは?
相続した家や土地の売却でかかる可能性がある税金は、大きく分けて7種類です。

ただし、すべてが必ずかかるわけではありません。相続のときにかかるもの、売却のときにかかるもの、利益が出たときだけかかるものが混在しています。
| 税金 | かかるタイミング | ポイント |
|---|---|---|
| 相続税 | 相続したとき | 基礎控除を超えた財産にのみ課税 |
| 印紙税 | 売買契約のとき | 契約書に貼る |
| 登録免許税(名義変更) | 相続登記のとき | 名義を被相続人から相続人へ移す |
| 登録免許税(抵当権抹消) | 売却前 | ローンが残っている場合に必要 |
| 譲渡所得税・住民税 | 売って利益が出たとき | 利益がなければかからない |
| 復興特別所得税 | 譲渡所得税と同時 | 所得税額に上乗せ |
| 固定資産税 | 所有している間 | 売却した年は日割り精算が一般的 |
私が実務で見てきた限り、相続した家の売却で一番大きいのは譲渡所得税・住民税です。ここを特例で抑えられるかどうかが、手取りを大きく左右します。
①相続税
相続税は、相続した財産が基礎控除を超えた場合にだけかかる税金です。
家を売ったときにかかる税ではなく、相続そのものにかかる税。売却の話とは別の段階の税金だと整理してください。
後で触れますが、相続税を払っている場合、その一部を売却時の取得費に加算できる特例があります。相続税の申告書は捨てずに保管しておいてください。
②印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書に貼る収入印紙にかかる税金です。
金額は契約書に書かれた売買金額によって段階的に決まります。買主と売主がそれぞれ1通ずつ保管する場合、それぞれの契約書に印紙が必要です。
金額自体は他の税金に比べると小さい。ただ、貼り忘れると過怠税の対象になるので、契約の場で漏れがないか確認します。
③登録免許税(名義変更)
登録免許税(名義変更)は、相続した不動産の名義を被相続人から相続人へ移す相続登記でかかる税金です。

売却するには、まず名義が自分(相続人)になっている必要があります。亡くなった方の名義のままでは、買主に引き渡せません。
④登録免許税(抵当権抹消)
登録免許税(抵当権抹消)は、相続した家にローンの担保(抵当権)が残っている場合に、それを消すためにかかる税金です。
前述の碓井ホームの解説によると、登録免許税は売主に必ずかかる税ではなく、抵当権抹消登記が必要な場合に売主側の負担となることがあります。
被相続人が完済しているのに抹消手続きだけ残っているケースは、実務でよく見ます。売却前に登記簿を確認しておくと安心です。
⑤譲渡所得税・住民税

譲渡所得税・住民税は、相続した家を売って利益(譲渡所得)が出たときにかかる、最も重要な税金です。
国税庁の案内では、譲渡所得は「売却価格-取得費-譲渡費用」で計算します。この利益に対して所得税と住民税がかかります。
税率は所有期間で大きく変わります。一般に、所有期間5年超なら長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得として扱われます。
ここで注意したいのが、相続した家の所有期間。相続の場合は、被相続人が取得した日から引き継いで判定します。つまり親が長く持っていた家なら、相続後すぐ売っても長期になることが多いんです。
⑥復興特別所得税
復興特別所得税は、所得税額に上乗せして課される税金で、譲渡所得税が発生すれば同時にかかります。

単独で計算するものではなく、譲渡所得にかかる所得税と一体で税率に含まれています。
後の表で示す20.315%や39.63%という税率には、この復興特別所得税分がすでに含まれています。別途追加で払うイメージではありません。
⑦固定資産税
固定資産税は、その年の1月1日時点で不動産を所有している人にかかる税金です。
売却した年の分は、引き渡し日を基準に売主と買主で日割り精算するのが実務上の一般的な扱いです。
相続後、売却までに時間がかかると、その間の固定資産税は相続人が負担し続けます。空き家を持て余して払い続けるのは、地味に効いてきます。
相続した土地の売却時に発生する税金の計算方法

相続した家・土地の売却で課税対象になるのは「課税譲渡所得金額」で、これは売却価格から取得費と譲渡費用、使える特別控除を差し引いた金額です。
計算の土台になるのが、取得費と譲渡費用の2つ。ここを正しく積み上げられるかで税額が変わります。
課税譲渡所得金額に課される税金と税率(所得税・住民税・復興特別所得税)
課税譲渡所得金額にかかる税率は、所有期間が5年超なら合計20.315%、5年以下なら合計39.63%です。

この税率は、所得税・住民税・復興特別所得税を合計したもの。大京穴吹不動産の解説でも同じ目安が示されています。
| 区分 | 所有期間 | 税率(合計) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
取得費は、被相続人が買ったときの購入代金などを引き継ぎます。古い家で購入金額が分からない場合、売却価格の5%を取得費とみなす方法もあります。
譲渡費用には、仲介手数料や、売るために必要だった解体費用などが含まれます。これらをきちんと計上するだけで、利益が圧縮されて税金が下がります。
相続した家の売却で使える主な特例は次の通りです。空き家特例だけでなく、相続税を払った人向けの取得費加算の特例も実務でよく使います。
| 特例 | 内容 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 空き家特例 | 譲渡所得から最高3,000万円を控除 | 被相続人の居住用家屋・敷地、売却代金1億円以下など |
| 取得費加算の特例 | 支払った相続税の一部を取得費に加算 | 相続税を納付している、一定期間内の売却 |
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 自分が住んでいた家を売る場合の控除 | 売主自身の居住用であること |
さらに注意点があります。令和6年1月1日以後の譲渡で、相続または遺贈で取得した相続人が3人以上の場合、空き家特例の控除額は1人あたり2,000万円までに縮小されます。
この特例の適用期間は、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの譲渡。期限のある制度なので、対象になりそうなら早めに動いたほうがいい。
私が現場で何度も伝えているのは「特例は黙っていても適用されない」ということ。使うには確定申告が必要です。申告期間は原則、売却した年の翌年2月16日から3月15日まで。
よくある質問
相続した家の売却と税金について、相談現場でよく聞かれる質問をまとめました。
よくある質問
最後に率直な意見を。相続した家の売却は、税金より先に「相続登記が終わっているか」「特例の期限に間に合うか」で詰まることが多いです。売却を考え始めた段階で、相続税申告書と登記簿を手元に揃えておくと話が早く進みます。
